昔話其の二 昔々、あるところに独身中年のK氏とメイドさん(東京都・17歳)がいました。 ある日、K氏がいつものように出張に出かけると、飛行機の座席の下に何か落ちているではありませんか。 何かと思って拾ってみたら、それは光る竹の筒でした。これはもしや時限爆弾!?テロリストの仕業かっ!? 危険を察知したK氏は、竹筒を抱えていち早く飛行機から降り、空港の外の敷地の竹林で解体作業を行いました。 K氏が竹筒を慎重に開封すると、なんとそこには小さな女の子がいました。その子の可愛いこと、将来が楽しみ です。しかし安直にお持ち帰りしようものならあのメイドさんにどんな目で見られるかわかりません。でもこん なチャンスもう二度とやってこないでしょう。ということでこっそり育てることにしました。出張で家を空かす ことが多いのでなんとかバレずにやれそうです。 K氏はその女の子にかぐや姫と名付けました。かぐや姫はすくすくと育ち、しかもなぜか毎月自分の口座に多額 のお金が寄付されるのでK氏はあっという間に大金持ちになりました。K氏の納税額が急に上がったので不審に思 ったメイドさんはかぐや姫のことを突き止め、英才教育と称してかぐや姫とK氏を引き離しました。別れ際、K氏 は次の辞世の句を詠んだと伝えられています。 蜜蝋の檻で雛を愛でようか想いとともに融けて消えらむ かぐや姫はそれはもう大変に可愛らしく器量もよく、天然記念物級のピュアな女の子。不純な男の手に触れさせ るわけにはいきません。しかし女子校に通わしたらそれはそれでイケナイ方向に進んでしまう懸念もあったので、 家庭教師をつけることになったのでした。家庭教師には、何の間違いか若い男が任命されました。女の子みたい な顔だったせいで勘違いされたのかもしれません。しかし、貧相な顔してなかなかのやり手です。いかにも女に だらしなさそうな男でしたが、特に問題はなかったみたいです。表向きは。 こうして年頃になったかぐや姫の噂はとめどなく、かぐや姫に求婚する者は後を絶たちません。求婚されるたび にかぐや姫は断わりを入れてましたが、とうとう時の帝にまで求婚されてしまいました。帝のお言葉は絶対です。 求婚された以上は従わなければいけません。しかし、かぐや姫はこれさえも断ってしまいます。ある夜、月を 見ながらさめざめと泣くかぐや姫に、メイドさんはどうしたのかと尋ねました。するとかぐや姫、自分は実は月 に住む人間なのだ、もうすぐ月に帰らなければならない、と妄言をのたまうのでした。ああ悲し。大事に育てら れたせいなのか、漫画とかにすぐ影響されてしまう夢見がちな少女になってしまったか。ですがこの話が広まる と、帝は、だがそれがいい、と返って情熱の焔を燃やすのでした。ダメだコイツ、早くなんとかs(ry かぐや姫の心がどうであろうと、何も変わらないのです。世の中カネと力。帝はまさにそう言わんばかりでした。 しかし、帝が大勢の家来を連れてかぐや姫を迎えにきた夜、その時でした。どこからともなく月の戦士が現れた のでした。カネの力で乙女の純情を踏みにじる男は月に代わってお仕置きするみたいです。額に十字傷のある黒 猫もセットです。ちょっと犯罪な匂いがするとか言ってはいけません。彼女が帝の気を引いてる隙に、かぐや姫 は逃げ出すことができたのでした。かぐや姫を連れ去ったのはあの男。そう、前にかぐや姫の家庭教師をしてい た男です。男は疾風の如き速さで屋形車に姫を乗せて連れ去っていったのでした。慌てて追いかけてももう遅い。 すでに手配されたKのマークの自家用ジェットに男と姫は乗り込み、どこかへと飛び去ってしまったのでした。 その日は特別夜空が綺麗だった気がします。まるで、月がかぐや姫の帰還を喜び星の涙を流しているかのように。 結論@愛はお金で買えないミステリィ おしまい