『ブルーの青春』 平成、それは激動の時代! 悪者が暴れまわって、とにかくいろんな人が困っている・・・。 そんな時代に私は舞い降りたの! 普段は白皇学院生徒会長にして、みんなから愛される完璧美少女! だけどその実体は・・・ 悪を憎んで人を憎まず! 高い所も・・・何のその! 木刀片手に東へ西へ!! 美少女スパッツ剣士ヒナちゃん、ただいま参上!!(ばぁぁん!!) お姉ちゃんに変わって、お仕置きよ!! そう、私はいつでも完璧と呼ばれている。 だけどそんな私でも、一人だけ敵わない女の子がいるの。 私よりずっと良い成績が取れるはずなのに、落第ギリギリの劣等生を演じて私の事を生徒会長にしてくれているあの子・・・。 私が困った時には、影でいつも手を差し伸べてくれる。 なんでだろ・・・あの子の事を考えていると、いつも胸が苦しくなる。 はっきりとは分からないけど、この気持ちはもしかして・・・恋? で、でも、女の子にそんな気持ち・・・それに、私があの子に想いを伝えてもきっと変な子だと思われる・・・。 あの子に嫌われるのだけは絶対嫌!! でも、この気持ちを消してしまう事は・・・決して出来ない。 この想いは・・・どうすればいいの? まぁ、そんな事をウジウジ考えていてもしょうがないので、とりあえず悪者を倒しに行く事にするわ。 えーと悪者悪者・・・って、そう簡単に見つかるものじゃ無いわね・・・。 よーし、とりあえず『お賽銭をいっぱい入れてお参りすればどんな願い事も叶う事で有名な朝風神社』に行ってから考える事にしましょう! よ〜し、やるぞ〜〜!!私の戦いはこれからよ! おしまい。 『・・・な、なによ、これ〜!!』 無事進級が決まった春休み、いいんちょさんレッド,副委員長ブルーの二人は『動画研究会2005年春季製作作品、シナリオ表(仮)』と書かれたノートを見ながら叫んでいた・・・。 「な、なんでこんな話になってるの〜〜?   私はヒナちゃんが格好良く悪者をやっつける話にしたかったのにぃぃ・・・。」 「そうだ!!なんでこんなに違う話になっている!! 私はヒナと一緒に写って・・・え、えと・・・その・・・と、とにかく!!  こんなオチも無い話にする気は無かったぞ!!ちゃっかり神社の宣伝まで入れてるし!!」 「そんな事言われても困る。私が書く番の時には既に話がゴチャゴチャだったからな、 話の崩れを強引でも修正する必要があった。宣伝はおまけだ!」 二人とは対照的に、風紀委員ブラックは取り乱す事も無く二人の意見を聞いていた。 「だからって打ち切りエンドは無いだろう!理沙だって、三人で回しあってシナリオを作る事に賛成してたじゃないか!」 「そんな事言ったら美希ちゃんだって酷いよ〜! 私の考えたお話を無かった事にしちゃったじゃない! これじゃみんなで協力して書く意味が無いよ〜!」 「ま、いいじゃないか、これはこれで面白いし。私は良いと思うぞ。」 『良くな〜〜い!!』 「・・・これじゃ埒が明かない、こうなったらヒナ本人に判断してもらおう!」 「おぉ〜ナイスアイデア!私もそれなら文句無いよ〜。」 「え・・・これ、ヒナに見せるのか? きっと怒られるぞ・・・。 てか、美希はどうしてそんなにムキになってるんだ? 面白い作品作りがわが部のモットーなのに、何だか複雑な話だし。」 「どうしてって、撮影になれば私とヒナの・・・って、そんな事はどうでもいい!! 今すぐヒナの所に行くぞ!! 一緒に来い!!」 「しゅっぱ〜つ!!」 「良いのかなぁ・・・。」 そんなやり取りの数十分後、三人は一日の仕事を終えたヒナのいる時計塔に到着した。 コンコン 「どうぞ。」 ガチャ 「ヒナ!」 「ヒナちゃん!」 「・・・ヒナ。」 「あら、三人揃ってどうしたの?」 「これを見てくれ!!」 そう言って美希はシナリオの書かれたページをヒナギクに見せた。 「あら、もしかして勉強してたの? ようやくその気になってくれたのね・・・・・・ って、何これ?」 「動画研究会の次回作のシナリオ表を作っていたんだけど中々面白いシナリオが浮かばなくてな、 三人で三分の一ずつシナリオを出し合って作ろうと言う事になったのだが、どうにも意見が合わなくてな・・・。」 「・・・ふ〜ん、それで?」 「そこで、主演を務めるヒナにシナリオを見てもらう事にしたんだ。  さぁ、誰のシナリオが一番魅力的だ?そのシナリオを中心にして話を組もうと思う!」 「格好良く悪をやっつけるヒナちゃんが一番良いよ〜!」 「ヒ、ヒナ・・・あのな・・・これは・・・。」 「・・・こんな恥ずかしい話を考える時間があったら、勉強しなさーい!! それに、私は出ませ〜ん!」 「うわ!ヒナちゃんが怒った!!」「まぁ、当たり前の反応だな・・・。」 「これのどこが恥ずかしいんだ! ひな祭り祭りの時のライブの方がよっぽど恥ずかしいと思うぞ!」 「あの時は本当に恥ずかしかったわ・・・って、そう言う問題じゃないわよ!  大体、三人揃って進級危なかったじゃない!何とか二年生になれたから良いけど、そんな成績で動画なんか撮ってて大丈夫なの!?」 「う・・・それは・・・。」 「ほ〜ら図星でしょ。しょうがないわね・・・いいわ、今日は仕事も終わったことだし、三人まとめて勉強見てあげる!早くテキスト持ってきて!」 『えぇぇぇ〜〜!?』 「・・・たく、美希がヒナに見せるなんて言うからこんな事になったんだぞ・・・。」 「ご、ごめん・・・つい興奮してしまった・・・。」 「美希ちゃんは特に気合入ってたもんね〜今回の製作。」 「そういえばそうだな。何か理由でもあるのか?」 「いや、これと言って理由は・・・。」 確かに、なんで今回はこんなに熱が入ったんだ? ・・・・・・ヒナと自分を題材にした作品が作りたいなんて・・・今までは笑える作品を作る事だけ考えていたのに・・・。 ホワイトデーにヒナからクッキーをもらってから、ヒナに会うと時々頭がポーっとする。 あれから、自分が少し変わった、そんな気がする。私は・・・もしかして・・・。 「ほらほら、喋ってないで問題解く!」 『は〜い・・・』 「ん?美希、ここの問題間違ってるわよ。」 「ふぇ!? そ、そうか・・・。」 「ここの問題は、公式を少し変形させて・・・って、ちゃんと聞いてるの?」 「え!? う、うん・・・。」 今だって、心臓がドキドキしっぱなしだ・・・。でも、運動した時とはまた違った感じ。 ま、まぁ、このドキドキの原因を解明するのはあとにして・・・今は、ヒナと一緒にいられるこの時間を楽しもう・・・。 「ヒナ・・・ここの問題はどうやって解くんだ?」 「ゲ!美希が勉強の質問してる!?」 「美希ちゃんすご〜い!!」 「美希から質問なんて珍しいわね。ようやくやる気になったかしら?」 「まぁ・・・たまには勉強も良いかなと思ってな・・・。」 「そう?じゃ、ちょっと見せてみて・・・えーと、そこの問題は・・・。」